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研究に関する動画
Nature Architects株式会社様での講演動画
データ駆動型設計
機械製品の設計作業は古くは人の手で行なわれ,近年は計算機(コンピュータ)を利用した設計も行われています.機械学習は古くから機械設計に使われてきましたが,近年の深層学習の登場により,できることが大幅に広がっています.当研究室ではデータ駆動型設計と名付け,性能予測,形状創出,形状修正の三つの観点で深層学習を機械設計に適用する研究を行なっています.
詳しい説明はこちらの記事[1]を参照してください.
[1] 米倉一男: "機械設計における機械学習の可能性 -流体機械への適用-", 日本機械学会誌, 123 (1217) , 30-33 (2020).
性能予測
機械製品の性能を統計的機械学習を用いて予測します.
形状創出
所望の性能値を指定して、それに見合った設計解を出力するシステムを構築しています。
例えば下の3つのアニメーションは,翼形状をその揚力係数がだんだん大きくなるように変化させたものです。3つのアニメーションはそれぞれタイプの異なる翼を変化させていますが、それぞれのタイプの特徴を保ったまま変化していると言えます。
この例では深層ニューラルネットワークモデルの一つであるGANやVAEの枠組み使用しています。私たちは機械設計に適する学習モデルがどのようなものかについて研究しています.
形状修正
強化学習を用いて,最適形状を探索する方法について研究を行なっています.
設計課題の一つに,対象物も形状もほぼ同じものに対して,流速などの条件を少し変えては形状の最適化を繰り返すタスクがあります.例えば航空エンジンのタービン設計,ターボ機械のシリーズ設計などでこのタスクが見られます。
このようなタスクに対して,これまでは数理最適化手法を用いて解決していました.しかしこの場合はタスクが決まってから数理モデル化を行ない,長い計算時間をかけて最適化を行なうことになります.強化学習を用いる場合は,事前に長い時間をかけて学習を行なっておき,流速などの条件が決まれば、あとは強化学習エージェントが短時間で(数分~数十分で)最適解を探索してくれます.
トポロジー最適化
流体機械の最適化
トポロジー最適化は機械製品の最適設計に使われる技術です.しかし計算時間が長いことが特徴で,特に流体性能を考慮した最適化は長大な計算時間がかかるため機械設計の現場では使いにくいものでした.そこでiSA法(Instantaneous Sensitivity Approximation)という方法を構築し,計算時間を従来の100分の1から1000分の1に短縮しました.これにより機械設計の現場で実際に使用されるようになりました.
3Dプリンタと最適化
3Dプリンタとも呼ばれる積層造形は,様々な形を自由に造形することができます.家庭用の安価な装置も販売され,”モノづくりの民主化”をキーワードに様々に活用されています.
3Dプリンタならではの形として,ラティス構造が挙げられます.これは微細な構造が繰り返し現れる構造で,軽量な構造が作れるという特徴があります.当研究室ではトポロジー最適化を用いて最適なラティス構造を研究しています.
機械学習の産業応用
プラント等の運転支援
機械学習を用いたプラントの運転支援について研究を行なっています.株式会社IHIでは機械学習を用いた火力発電所の運転支援技術を構築しました[1].よく,機械学習はブラックボックスであり想定外の事象に対応できないと言われ,これが実装へのハードルになります.しかし機械学習の出力を適切に評価し,適切なバックアップシステムやフェールセーフシステムを用いることで,安全に使用できると考えています.
当研究室では,機械学習が学習した内容をどのように解釈すればよいかについて研究しています.例えば,Bayesian Neural Networkという学習モデルを用いれば機械学習モデルがどの程度の”確信度”をもって答えを出しているかを定量的に判断することができます.
参考:苫東厚真発電所4号機におけるボイラー保守技術高度化システムの導入について
医療応用
AIの医療適用は多くの研究がなされています.当研究室では某大学病院および某大規模病院と協力して,医療画像からの病態診断だけでなく,予後の経過まで含めた予測ができないか研究を行なっています.最終的には単に医師の作業を肩代わりするAIではなく,AIを用いることで患者さんがより早く快復したり,予後が良くなることを目指しています.
ハイブリッド型ロケットエンジン
本研究は2020年9月時点で公開できる情報がありません.公開できるようになり次第,公開いたします.